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そのヒトはわらっていた

真っ白だった 上品で煌びやかなドレスを 真っ赤に染めて




























































佇んでいた
叫ぶ事も 嗤う事もなく

一瞬の出来事を頭の中で整理する事もない
ただ 目の前でわらっている女性を見ていた



―― 何故 このヒトはわらっているのだろう ――



ふと そんな思考が脳裏を過ぎる

わらってはいるが 小さな口からは
ヒューヒューと
いのちそのものが悲鳴をあげている聲がする



でも そんな事はどうでも良かった
少年は 気付いてしまったのだから




―― やっと 逃れられる ――




少年は 女性がドレスを真っ赤に染めたその瞬間
そう思ってしまった

自分自身でも気付いていなかった
気付かない振りをしていた
本当の願い




それに 気付いてしまった




しかし その願いを絶望に変えてしまうような
そんな聲が響く ...





























―― これで貴方は 一生 私から逃れられなくなった ――



















































――― 私を殺したという 罪から ―――



















































女性は 自分に遺されている僅かないのちを削ってまでも
その言葉を少年に浴びせた



―― これで 貴方が死ぬまで 私は貴方の中で生き続けられる ――

―― これで 貴方とひとつになれる ――



そんな言葉を浴びせ続ける女性は

とても 嬉しそうだった

とても 幸せそうだった






そんな女性を 少年はもう ただのひとつの物体にしか見られなくなっていた


護りたかったのは こんなモノではない


護りたかったのは 自分自身





だからもう 要らなかった





女性の人形でしかなかった少年は
自分を縛り付けている柵から逃れる事を ずっと 心の奥底で願い続けていた

結局 自分は女性の意のままに生かされ続けてしまった
女性の1番の願いを 自分自身が叶える事になってしまった



それでも 少年は願った



自分の手の中にある 漆黒の鉄の塊
それを再び しっかりと握りしめる



































「 さようなら  姉さん 」












































そして

少年は 闇へと身を投げた











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